2015年6月25日〜7月2日の日程で,チェコ共和国プラハで開催された第26回IUGG (International Union of Geodesy and Geophysics) General Assembly 2015に参加した.プラハは,1927年にIUGGが開催されており,同じ都市でのIUGG開催はこれが始めてである.IACS, IAG, IAGA, IAHS, IAMAS, IAPSO, IASPEI, IAVCEIの8つの国際学会が加盟している.IAVCEI (国際火山学会)は,2年ほど前から規約等の問題でIUGGから脱退するという話しもあったが,この4月にようやく和解が成立し,IUGGに残ることとなった.IUGGは,第1回G-EVER国際ワークショップにも来て頂いたAlik Ismail-Zadeh氏がSecretary General を務めており,今回の改選でも再選された.
IAVCEI関連のセッションは,6月25日〜7月2日に開催された.IUGG全体で5769件のAbstractが提出され,5381件が発表された(9件がユニオンレクチャー,476件が招待講演,2682件が口頭発表,2211件がポスター発表).6月25日には,4つのワークショップが開催された.私は,”Effective Communication Tools: What can volcanology learn from other hazards?”と”Models in volcanology”の2つのWSに参加した.Communication Toolsのセッションでは,火山のアラートレベルや,住民への啓発活動,地震・水害等における災害対応との比較,より効果的な情報伝達についてプレゼン,討議が行われた.Models in volcanologyのセッションでは,アナログモデリングについて議論が行われた.アナログ実験における次元解析,フラクタル解析,ベンチマーキング,インバージョン解析,PIV(粒子注入による可視化)などについて議論を行った.6月26日には,水とマグマの相互作用のセッション,火山灰に関するセッションに参加した.6月27日には,Volcanic Risk –Bridging Hazard Assessment, Modeling Volcanic Processes, and Society のセッションに参加した.このセッションで, G-EVERの火山災害予測支援システム,アジア太平洋地域地震火山ハザード情報システム,CCOP地質情報総合共有システムのプレゼンを行った.また,Rheological and Mechanical influences on Volcanic Eruptionのセッションに参加した.6月28日は,Mechanism of Volcanic Ash Generation: from Lab to Field及びBenchmarking Pyroclastic Density Current Modelsのセッションに参加し,火山灰の形成メカニズムや,火山流等の火山重力流のメカニズムについて貴重な情報が得られた.6月29日は,Dynamics of Eruption Clouds, Collapse Calderaのセッションに参加し,噴煙柱のダイナミクス及びカルデラ形成メカニズムに関して重要な情報が得られた.6月30日は,Probabilistic Volcanic Hazard Analysisのセッションに参加し,確率論的火山災害予測に関して多くの解析事例を把握する事ができた.7月1日は,Volcano Geologyのセッションに参加し,火山地質関連の最近の研究成果を知ることが出来た.7月2日には,Best Practices and Recommendations for Tephra Measurementsのワークショップに参加し,火山灰の調査法,分析法,降灰量測定方法について有益な情報が得られた.
7月1日午後には,閉会式が行われた.IUGGフェローとして,荒牧重雄氏や地震研の中田節也氏が選ばれた.次回のIUGG General Assemblyは,4年後の2019年にカナダのモントリオールで開催される予定である.
宝田晋治