水文学的・地球化学的手法による地震予知研究についての第13回日台国際ワークショップ報告

2014年9月2~4日に標記ワークショップが,産総研の活断層・火山研究部門と台湾成功大学防災研究センターとの共同研究である「台湾における水文学的・地球化学的手法による地震予知研究」の一環として,産総研つくば中央第7事業所・他において開催された.このワークショップは,日本と台湾における地下水や地殻変動等の観測・実験などを通じた地震予知研究に関する情報交換を主な目的として,産総研と成功大学とで毎年交互に開催している(小泉, 2013).9月2日にワークショップ,3~4日には房総半島への巡検が行われた.

写真1_集合写真

写真1.産総研地質標本館前での集合写真.

ワークショップでは,台湾全域から沖縄トラフ,南海トラフ,近畿~中部地方を対象として,水文学・地球化学は勿論,地表~海底でのGPS,SAR,歪等の地殻変動,地震活動,津波予測・警報などを中心に,非常に幅広いテーマが紹介された.全体的に防災に役立つといった点を重視した発表が多かったように思う(写真1).巡検では,房総半島において,関東地震や東北地方太平洋沖地震の痕跡を見学した.初日の9月3日は,房総半島南部で,関東地震により形成された海岸段丘を観察した(写真2).また,南房総市真浦地区では元禄関東地震の津波到達点を示す石碑を見学した.翌日の9月4日は,銚子市で,地球の丸く見える丘展望館からの展望を楽しんだ後,鹿嶋市では鹿島神宮を見学し,境内にある要石を前に鯰が地震を起こすという日本の伝承の説明を受けた.最後に潮来市において,東北地方太平洋沖地震によって発生した液状化の被害の様子を見学した.地震後3年半が経過した現在でも修復工事が進められており,被害の大きさを実感することができた.

写真2_平磯海岸

写真2.平磯海岸の海岸段丘を見学する巡検参加者.

本ワークショップの講演論文集は, 過去11回分の論文集と同様に, GSJ研究資料集としてhttps://www.gsj.jp/researches/openfile/index.htmlからダウンロードできるようになる予定である.

参考文献: 小泉尚嗣(2013), 活断層・地震研究センターニュース, 46, 5-7.

文責:板場智史・落唯史・小泉尚嗣

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